同じボーディングスクールフェアでも、体験はこんなにも違う
- Maho Hamada
- Mar 24
- 7 min read
Updated: Apr 29

先日の土曜日、Sちゃんのご家族と一緒に、イギリスのボーディングスクール留学フェアに参加してきました。
今回改めて実感したのは、
学校選びは学校の名前や実績ではなく、そこにいる教育者の人格と、子どもと学校との相性で決まるということです。
そしてもう一つ、 同じ場所にいても、誰と行くかによって、得られる経験の質が大きく変わるということ。
この記事では、その場でしか感じられなかったこと、
そしてSちゃんの小さな成長について書いてみたいと思います。
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今回ご一緒したご家族は、英語でのコミュニケーションに不安がある中での参加でした。
だからこそ私たちは、単に手続きや通訳をするのではなく、
学校の考え方や空気感まで含めて“体験として届けること”を大切にしています。
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会場に到着すると、受付が二つありました。
日本人スタッフの受付と、イギリス人スタッフの受付です。
私たちは自然とイギリス側の受付へ向かい、担当の方に声をかけました。
この小さな選択が、その日の体験を大きく変えることになります。
多くのご家族が日本人スタッフの方と話している中で、
イギリスの方に受付をしてもらった私たちは、
UK Boarding Schoolのシニアコンサルタントの方と直接お話する機会をいただきました。
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まず、今回の主役であるSちゃんについて丁寧に共有しました。
この1年半、教室で見てきた彼女の様子。
好奇心旺盛で、好きなことに対して深く集中できること。
そしてクリエイティブで、言語を学ぶことも身体を動かすことも大好きなこと。
さらにご家族が大切にしている
「将来、自分の好きなことを仕事にして自由に生きていける人になってほしい」という想いもお伝えしました。
コンサルタントの方はその話をじっくり聞いた上で、
参加校の中から「話を聞くべき学校」をいくつか提案してくれました。
事前に各校について丁寧にリサーチをして候補を絞り込んでいた私たちは、
その多くが私たちの候補と重なっていたことに感激しました。
一方で、私たちが気になっていた学校の中で、
「Sちゃんの環境としては少し違うかもしれない」と提案された学校もありました。
理由は、学校の立地でした。
都市に近い学校よりも、
自然に囲まれた環境の方が、子どもたちは年相応に伸び伸びと成長できる。
Sちゃんの性格を考えると、その方が合っているのではないかということでした。
学校選びは優劣ではなく、
その子がその環境で輝けるかどうか。
その子の特性や求めているものを基準に考えることが、
イギリスのボーディングスクールでは当たり前なのだと感じ、
とても嬉しくなりました。
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いくつかの学校のブースを回る中で、
もう一つ強く印象に残ったことがあります。
それは、学校ごとに代表者の纏う雰囲気がまったく違うことです。
同じように「個性を大切にする」と語っていても、
その言葉の意味や重みは、話す人によってまるで違います。
資料やウェブサイト、SNSでは分からなかったことが、
実際に会って話すことで、はっきりと見えてきます。
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Bryanston School
事前にリサーチをしていて一番印象に残っていた学校。 溌剌と楽しそうに美女と野獣のミュージカルの練習と公演に取り組む生徒の姿に 心を奪われ、ぜひ話を聞きたいと思っていた学校の一つです。
入学担当者の方が話してくれた中で印象的だったのは、
「生徒一人ひとりが自分の進む道を見つけられるよう支える」という言葉でした。
オックスフォードやケンブリッジを目指せる成績を持ちながら、
自分の夢を選び料理の道に進んだ生徒の話を、
とても誇らしそうに語っていたのが印象的でした。
学問的な成功だけではなく、
その子自身の人生の選択を尊重する学校なのだと感じました。
Sちゃんのお父様も、起業家として成功されている方ですが、
Bryanston Schoolの起業家精神を育てる教育、
そして生徒一人ひとりに、9年生(13–14歳ごろ)から6年間同じTutorがついて、
学習を継続してサポートしてくれる仕組みに、特に魅力を感じていらっしゃいました。
LVS Ascot
森や自然環境を教室として、子どもたちが自ら考え、試し、学ぶことを大切にする
Forest School(フォレストスクール)の一つである、LVS Ascot。
クリエイティブなSちゃんにとって、自然の中でのびのびと感性や才能を伸ばせる環境は きっと合っているのではないか——
そう考え、私たちは話を聞きに行きました。
席に着きながら、
Sちゃんが去年の夏、ご家族と北海道の雄大な自然の中で
身体を思いきり動かしたり、勉強をしたりして過ごしていたことをお話しすると、
担当の方がとても嬉しそうにこう言いました。
「私の息子が、海洋生物学者として北海道でクジラの研究をしているのよ!」
そして、息子さんから送られてきたクジラの写真を私たちに見せてくれました。
このやり取りのおかげで、場の雰囲気が和らぎ、親しみやすいものになりました。
こうした小さな会話から、人と人とのつながりが生まれていくのだと感じます。
彼女が学校選びについて話してくれたことは、とても印象に残っています。
「今日来ている学校はどこも素晴らしい。
でも、すべての子どもに合う学校は一つもない。」
「どの子も素晴らしい。
だからこそ、その子に合った環境を選ばなければいけない。」
その言葉は、学校選びの本質をとてもよく表しているように感じました。
こちらの学校も、オックスフォード・ケンブリッジのようなトップ大学に進学する道を用意しながら、
それだけがすべての生徒にとっての最善の道とは考えていないと話していました。
何よりも、生徒一人ひとりの情熱を育てること (to inspire and ignite passion)を大切にしているということでした。
Monkton Combe Prep School
こちらのブースはとても人気で、なかなか順番が回ってきませんでした。
担当の方は二人で来ており、
なんとPrep Schoolの代表自ら、私たちを迎えてくださいました。
これまでの学校の代表の方々も温かく、教育への情熱が伝わってきていましたが、
この方にはそれに加えて、長い伝統を背負っている学校ならではの静かな品格のようなものが感じられました。
パンフレットや校内の様子が見られるウェブページを見せながら、
Sちゃんに向けて、学校での生活について丁寧に話してくれました。
私たちの英語塾では、英語ゼロで入塾した小学校1年生も、6年生になる頃には
ハリー・ポッターを読み、質疑応答をしたり、短いエッセイを書いたりできるように
なります、とお話しすると、
まあ、それはかなり凄いことね!と目を輝かせながら、 学校の理念やカリキュラムについて、さらに深く話してくれました。
相手が共感できることを、こちらが先に開示したことで、
どんどん会話が深まっていきました。
そして個人的には、
「こんな方が子どもたちを導いている学校なら、ぜひ子どもを預けてみたい」
と感じると同時に、教育者としての姿勢にも深く心を動かされました。
いつか自分も、こんなふうに子どもたちと向き合える教育者でありたい。
そう思わせてくれるような出会いでした。
Dean Close School
少し休憩を挟んだあと、
Sちゃん自身が「この学校が気になる」と言って、Dean Closeのブースに向かいました。
担当の方はとても温かく、
まずSちゃんに「名前を書いてみて」と声をかけ、年齢や好きなことなどをゆっくり聞いてくれました。
ご自身も同じくらいの年齢でボーディングスクールに入学した経験があるそうで、
寮での生活について話してくれました。
友達と笑い合いながら過ごす時間、授業やスポーツ、さまざまなアクティビティ。
そして夜にはハウスマトロンと本を読む時間があること。
それまでの学校でも丁寧に話を聞いていたSちゃんですが、
自分から気になると言って訪れたこの学校では、
さらに積極的にコミュニケーションを取ろうとしていました。
“自分で選ぶ”という経験が、
子どもの行動をこんなにも変えるのだと感じた瞬間でした。
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今回のフェアを通して改めて強く感じたことは、
学校選びは、
スペックや情報だけで決められるものでは全くないということ。
その学校にいる教育者の人柄、子ども自身が感じる空気、
そして出会いの中で育っていく、「この学校だ」という確信。
だからこそ私たちは、
単に学校を紹介するのではなく、
子どもと家族がその学校と出会う瞬間を、一緒に体験することを大切にしています。



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